久しく会っていないB子だ。
「今、ゴウコンの帰りなのよ」
「ゴウコン?」
「そ。電車乗りそびれて、ちょっと歩いてんの」
B子は30歳(その前後のはず)だ。
「ゴウコンって、あの合コンか」
「そ」
B子はちょっと酔っているようだ。
コツコツいう足音に混ざって、周囲の、若い奴ららしい声が聞こえる。
「どこなの?」
「新宿」
「どうすんのよ」
「タクシー拾うよ」
「新宿、どこ」
「ここ……甲州街道? あれ? 青梅街道?」
B子は高円寺に住んでいるはず。
「早くクルマ拾え」
「いいじゃん。ちょっと歩きたいんだもん」
「合コンってのは、現存するんだな」
「え?」
「今どき、合コンってのが、あるんだなってことよ」
「あ〜」
コツコツ……足音。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
合コンというのに、おらは、行ったことがない……と思いながら、思い出した。
あれは、1986年か……バブルの時代か……。
その頃勤めていた、リクルート・フロムエーの青山支店の先輩に、
「タカ、今日の夜は空いてる?」と言われた。
思えばあれが合コンだったのかな。
相手は、2009年の今、潰れそうな航空会社Jの女性5名。
こっちは、江副氏が海賊のかっこうで運動会を催していたころの、リクルート、俺を入れて5名。
どういうバランスなのかしれないが、よくもそういう会合があったもんだ。
青山の、イタリヤ料理の店の、個室の、長いテーブル。
「おまえはとにかく、静かにしてろよ」と、先輩の杉山さんに言われた。「それと、今日のことは、会社では言うなよ」
杉山さんと、松原さんは、J社の女性2名と、それぞれ消えた。
おら、その頃、品川区大井町に住んでいたので、帰るのが大変。
消えなかった先輩二人が、
「ギンパチ行くか」と言った。「タカギも来るか?」
ギンパチというのは、銀座8丁目(新橋駅のそば)にあった(今もある?)真っ黒いビルで、リクルート・エイトビルとか、なんだかそういう名前のビルだった。
先輩二人は社員証を示して、ギンパチビルに入った。
おらは、なしくずし的に入った。
ギンパチビルはそれなりの高層ビルで、上の方にはジムがあった。
おら、先輩にくっついて、ジムに入った。
すごいプロポーションの、きれいな女性インストラクターが、マンツーマン(マンツーウーマン?)で、ウエイトとかランニングマシーンを指導してくれた。
ここは、どこか、どこなのか、と思った。
かなり汗をかいたころ、二人の先輩が、
「俺たちは、銀座に出てみる。でも、おまえはこのまま泊まれ」と強制的に言った。
泊まったのは、カプセルだった。
目覚めると、ダイニングに朝食やコーヒーがあった。
2009年の今と違う感じなのは、ミネラルウォーターのボトルなんて無かった代わりに、取り放題のタバコがあったことかな。
料金というか、お金は一切、請求されなかった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「で、出会いはあったのか?」と、B子に言った。
「出会い? 何が?」
「出会うためのもんなんだろ? 合コンてのは」
「あ〜、そうなの?」
「そうなんじゃないのか?」
「なんか、男の人たち、次のお店もなかなか決められなくて、ケータイのワリカン計算ソフト? で、『二千五百円通しでもいいですか』とかって」
「透明感があって、いいことじゃんか」
「でもなんか……」
コツコツ……足音。
「で、なんで電話してきた?」
「あ〜、そういうこと言う?」
「いや、なんかあったかと思ってだよ」
「……あえて言えば……《ゴウコン》って言葉、何の略なの? あなたなら知ってると思って」
「今、ゴウコンの帰りなのよ」
「ゴウコン?」
「そ。電車乗りそびれて、ちょっと歩いてんの」
B子は30歳(その前後のはず)だ。
「ゴウコンって、あの合コンか」
「そ」
B子はちょっと酔っているようだ。
コツコツいう足音に混ざって、周囲の、若い奴ららしい声が聞こえる。
「どこなの?」
「新宿」
「どうすんのよ」
「タクシー拾うよ」
「新宿、どこ」
「ここ……甲州街道? あれ? 青梅街道?」
B子は高円寺に住んでいるはず。
「早くクルマ拾え」
「いいじゃん。ちょっと歩きたいんだもん」
「合コンってのは、現存するんだな」
「え?」
「今どき、合コンってのが、あるんだなってことよ」
「あ〜」
コツコツ……足音。
あれは、1986年か……バブルの時代か……。
その頃勤めていた、リクルート・フロムエーの青山支店の先輩に、
「タカ、今日の夜は空いてる?」と言われた。
思えばあれが合コンだったのかな。
相手は、2009年の今、潰れそうな航空会社Jの女性5名。
こっちは、江副氏が海賊のかっこうで運動会を催していたころの、リクルート、俺を入れて5名。
どういうバランスなのかしれないが、よくもそういう会合があったもんだ。
青山の、イタリヤ料理の店の、個室の、長いテーブル。
「おまえはとにかく、静かにしてろよ」と、先輩の杉山さんに言われた。「それと、今日のことは、会社では言うなよ」
おら、その頃、品川区大井町に住んでいたので、帰るのが大変。
消えなかった先輩二人が、
「ギンパチ行くか」と言った。「タカギも来るか?」
ギンパチというのは、銀座8丁目(新橋駅のそば)にあった(今もある?)真っ黒いビルで、リクルート・エイトビルとか、なんだかそういう名前のビルだった。
先輩二人は社員証を示して、ギンパチビルに入った。
おらは、なしくずし的に入った。
ギンパチビルはそれなりの高層ビルで、上の方にはジムがあった。
おら、先輩にくっついて、ジムに入った。
すごいプロポーションの、きれいな女性インストラクターが、マンツーマン(マンツーウーマン?)で、ウエイトとかランニングマシーンを指導してくれた。
ここは、どこか、どこなのか、と思った。
かなり汗をかいたころ、二人の先輩が、
「俺たちは、銀座に出てみる。でも、おまえはこのまま泊まれ」と強制的に言った。
泊まったのは、カプセルだった。
2009年の今と違う感じなのは、ミネラルウォーターのボトルなんて無かった代わりに、取り放題のタバコがあったことかな。
料金というか、お金は一切、請求されなかった。
「出会い? 何が?」
「出会うためのもんなんだろ? 合コンてのは」
「あ〜、そうなの?」
「そうなんじゃないのか?」
「なんか、男の人たち、次のお店もなかなか決められなくて、ケータイのワリカン計算ソフト? で、『二千五百円通しでもいいですか』とかって」
「透明感があって、いいことじゃんか」
「でもなんか……」
コツコツ……足音。
「で、なんで電話してきた?」
「あ〜、そういうこと言う?」
「いや、なんかあったかと思ってだよ」
「……あえて言えば……《ゴウコン》って言葉、何の略なの? あなたなら知ってると思って」